【確率ってどれくらい?】知っておきたい流産のこと

子作りを意識したり、実際に妊娠したりしてから初めて知る辛い現実って、実は色々あるんですよね。たとえば、赤ちゃんが欲しいと思っても実はそう簡単ではないこと。そして、いざ妊娠が発覚しても、誰にでも流産のリスクがあって、しかも割と「よくあること」だということ。今回は、「流産」をテーマにまとめてみたいと思います。流産したらどうしよう、などとマイナス思考に陥ってしまうことは良くありませんが、やはり知識としては十分理解しておきたいものです。その確率や種類、予防法の有無などに注目してみました。

この記事で分かること
・流産の確立
・流産の種類
・予防方法について

読むのに必要な時間は約 5 分です。

 

1.そもそも流産とは?

「流産」の定義は、妊娠22週目までになんらかの原因をもって妊娠が継続できなくなってしまうこと、とされています。さらに、妊娠12週未満の流産を「初期流産」、妊娠12週~22週未満の流産を「後期流産」といったように分類されています。

そして妊娠22週以降の死児の出産については「死産」と定義づけられています。妊娠22週未満までを流産、それ以降を死産と区別している理由は次の通りです。妊娠22週以降の胎児であれば、胎児が母体から出されても未熟児医療で生存できる可能性があるためです。つまり、死産は人として死を迎えたという意味で、妊娠22週を1つの区切りとしているのです。

2.流産する確率はどれくらいあるの?

では、妊娠後に流産する確率とはどれくらいなのでしょうか。流産と聞くと、何か特別な原因があったり母親の生活習慣のせいだったり、と思われることもあるようですが、実は流産は決して珍しいことではないのです。数字にすると、実に15~20%の確率で起こるとされています。

これはつまり、妊娠経験のある女性の5~6人に1人は流産する可能性があるということになります。確かに流産には何かしらの原因はあるものですし、先に挙げたようなケースがあるのも事実ですが、必ずしも「流産」自体が特殊なことではないということです。ちなみに、初期流産が流産全体の80%を占めています。妊娠12週目までに出血があったり急な腹痛があったりする場合には、流産の兆候である可能性があります。念のため、早めの受診をしておいたほうが良いでしょう。

3.流産する確率はどんなことで変わってくる?

流産の原因には様々あります。必ずしもそれが特定できるわけではありませんが、どういったことで確率が変わってくるのかについて、少しくわしく見ていきましょう。

■妊娠の年齢

近年では高齢出産も当たり前になってきましたが、やはり年齢が高くなると妊娠・出産に関する様々なリスクも高まるというのが事実です。流産もそのひとつで、20代では流産の確率は9~11%なのが、40代を過ぎると50%以上と、確率が一気に高くなります。ちなみに、30~34歳では15%、35~39歳では25%という推移になっています。

■妊娠の期間

先にも少し述べているのですが、流産の80%は妊娠12週までの初期流産が占めています。この時期の流産の多くの原因として挙げられるのは、染色体異常です。これは受精の時に決まってしまうため、受精段階ですでに、妊娠が継続できない状態であるといえます。つまり、この時期の流産は母親が原因ではないというケースがほとんどだということです。

また、初期流産の中でも妊娠8週~12週が34~48%を占めており、最も高い確率となっています。妊娠13週~16週では6~9%と、かなり確率は減るものの、まだまだ油断できないということがわかりますね。

■多児の場合

双子や三つ子などの多胎妊娠の場合にも、一人の胎児を妊娠している場合より流産の確率が高くなるようです。双子で片方の胎児のみ流産してしまうというケースもあります。このように多胎妊娠では、出産も含めて様々なリスクが高くなるため「安定期がない」などと言われるほどです。双子や三つ子を妊娠している方は特に、無事出産を終えるまで無理をしないで体を守ることが大切です。

■羊水検査によって

これに関しては少し特殊なケースと言えるかもしれません。高齢出産の増加につれてよく耳にするようにもなりましたが、「出生前診断」のひとつである羊水検査をすることで、流産の確率が0.1~0.3%ほどあるということです。

羊水検査では、お腹に針を刺して子宮から羊水を抜き取り、胎児の染色体を調べます。そういった検査によって、子宮に刺激を与えたり、羊水が流れ出てしまったり、破水が起きてしまったりというリスクもあるということです。

4.流産にも種類がある

「流産」と一口に言っても、実はいくつかに分類されており、その時期や見られる症状などはそれぞれ異なります。ここでは4つの「流産」について見ていきましょう。

■切迫流産

切迫流産とは、流産の可能性が高まっている状態のことを指します。兆候としては、少量の不正出血や腹痛といった症状が出ることがあり、早期発見が重要になります。切迫流産と診断されても、必ず流産するというわけではありません。ですから、まずは自宅や病院で安静にするということを心がけましょう。

■稽留流産

稽留流産とは、胎児がすでに死亡していて子宮の中に留まっている状態のことを指します。自覚症状がほとんどないため、妊婦健診のエコー検査ではじめて確認されるケースが多いようです。胎児が外に出てくるのを待つこともありますが、そのままにしておくと進行流産に移行し、強い痛みや出血といった症状が出てくることもあります。そのため、稽留流産の発覚から1週間後くらいに手術するかどうかを医師が判断します。

■進行流産

進行流産とは、切迫流産が進行した状態を指します。進行してしまうと流産を止めることはできません。子宮口が開き、胎児、胎嚢や胎盤などが出てきて流産となります。切迫流産よりも大量に不正出血したり、さらに強い下腹部痛が起こったりします。そして安全流産と不全流産のどちらになるかによって、その後の処置が異なります。2つの違いは次の通りです。

・完全流産

子宮内のものが全て外に出て、子宮に何も残っていない状態のことです。

・不全流産

安全流産と違い、子宮内のものが全て外へ自然に出きらず、子宮に一部が残ってしまう状態のことです。放置しておくと感染症を引き起こしてしまう可能性もあります。そのため、不全流産となった場合には、子宮内に残っているものの除去手術が必要となります。

■化学流産

化学流産とは、受精をしても着床が長く続かなかった状態を指します。妊娠検査薬が陽性反応を示したものの、エコー検査で妊娠が確認できる前に流産してしまったというケースです。そのため人によっては、妊娠に気づかないまま化学流産していて、次の月経を迎えることもあります。

5.流産は予防できる?

流産は予防できるのかというと、残念ながら完全な予防法というものはありません。初期流産としてよくある胎児の染色体異常によるものをはじめとして、どうしても避けられない流産があるのも事実です。ただし、流産リスクを減らすような生活や行動を心がけておくことは大切です。ここでは6つの項目を取り上げておきます。

  • 妊婦健診をきちんと受ける

自分では気づかなくても、妊婦健診で異常が発見されるという場合もあります。早期の対処が要となることも多いので、忙しくても定期的にしっかりと受けましょう。

  • 無理をしすぎない

妊娠12週以降の流産は母体側の原因が多いので、体に負担をかけすぎないように注意しましょう。ストレスや疲労の蓄積は禁物です。

  • 異常を感じたらすぐに受診する

少しでも出血がある、お腹が張って痛い、急に胎動を感じなくなった、といったことがあれば、迷わず受診しましょう。不安を抱えたまま過ごすのも精神的に良くありませんので、心配に思うことはすぐに医師に相談しましょう。

  • 規則正しい生活を心がける

母子の健康のためにも、十分な睡眠をとる、ストレスを溜めない、栄養のある食事をとる、などといった基本的なことはぜひ心がけておきましょう。サプリメントなども取り入れて栄養補給するのもおすすめです。

  • 体重管理をする

過度なダイエット、肥満はどちらも流産のリスクを高めると言われています。できれば妊活中から、きちんとBMI管理をしておきましょう。ドクターストップがかけられていない場合には、適度な運動も大切です。

  • 感染症を防ぐ

子宮内感染というのも、流産のリスクとなります。妊娠初期に膣炎や頸管炎が見つかった場合には、きちんと治療をしていきましょう。妊娠中に避妊具なしで性行為をしない、膣の過剰な洗浄をしない、温泉やプール、海水浴といった場所は避けるなどといった予防も大切です。

上記のようなことは、流産のリスクを軽減するだけでなく、母子の健康状態を良好に保つために大切なことでもあります。妊活中からできることもありますので、子供を望むのであれば、ぜひ心がけておいてくださいね。

6. まとめ

妊娠・出産の辛い現実のひとつとして、今回は「流産」について取り上げてみました。子供を望む夫婦にとっては、とても悲しいことですよね。妊活中、妊娠中の方の中には不安でたまらないと思われる方もいるでしょう。しかし、胎児側の問題で流産となってしまうケースが非常に多く、どうしても避けられない場合もあるということは十分理解しておいてくださいね。そのうえで、必要以上に不安視するのは避けましょう。それがストレスにつながってしまうと、ママの体にも、赤ちゃんの体にも良くありません。なるべく穏やかな毎日を過ごせるようにしましょうね。

ライター名;槌谷