【なぜ咳は出るの?】子供の咳!重症化する前に知っておきたい注意点

この記事でわかること
・子供の咳の種類
・咳を伴う子供の病気
・咳が出る時のホームケア

 

子どもはよく咳をしますね。特に冬場は、咳を一度もしないなんてことはありえないほど、日常的なものです。通常の咳は、お子さんの喉や胸に菌やウイルス、誤って飲み込んだナッツや小さなおもちゃ、気管に詰まってしまった食べ物などの異物が入るのを取り除くための、健全なものです。
しかし、子供の咳が止まらず長引くと、心配になってしまいますよね。今回は子供の咳が止まらない時の原因や病院に行く目安、家庭でのケアなどをご紹介します。

 

1.咳をしている子供を病院に連れていく目安

子どもの咳が苦しそうな時や、3日以上咳が続く場合は必ず受診しましょう。咳をすることで別の病気を合併したりする場合があります。
さらに、子どもの場合は症状が急変することもあります。激しい咳から呼吸困難に陥り、数時間で悪化していくケースもあります。

・苦しそうに、肩で呼吸をしている
・息をする時に喉、鎖骨、肋骨の部分がペコペコとへこむ。
・激しく咳込んでいて呼吸がしにくい
・顔色が悪い、顔色が白い、唇が紫色
・水分が取れない
・動けない

などの症状が見受けられたら、速やかに受診して下さい。

■病気を治すのは薬ではない?

咳は、空気の通り道である「気道」に、吸い込んだウイルスやホコリなどの異物を外に出そうとたする時に起こる反射的な防御反応です。
咳には咳止め(鎮咳薬)がありますが、止めてはいけない咳もありますから、素人判断で安易に咳止めを使うことは好ましくありません。たとえば喘息発作の揚合、薬によって咳を止めてしまうと、痰を排出できなくなり、溜まってしまった痰が気管支の内側をさらに狭くして、逆に苦しくなってしまうからです。こんなときは、咳止めは使用せず、痰を取り除く薬(去痰薬)や気管支を広げてあげる薬(気管支拡張薬)を用いるそうです。

大切なのは医療機関でしっかり診察を受け指示に従って薬を服用したり、症状に合った治療をしたりすることです。

■大きな病気のサインかどうかを調べる

咳は口から肺までの気道に異物が侵入した際に、異物を体外に排出するために行います。微細なものも咳によって排出しようとするため、ウイルスやホコリなどが侵入した場合は咳をすることで体を守ります。つまり、咳は体に何らかの異物が侵入したという体からのサインなのです。咳は病気や体の状態を知るための重要なサインであり、手がかりなのです。

2.咳の主な種類と原因

■乾性咳嗽

乾性咳嗽(かんせいがいそう)はコンコンという乾いた咳。
乾性咳嗽は痰が出てこないのでコンコンという乾いた感じの咳になり、上気道の炎症しているサインだそうです。風邪のひきはじめは乾いた咳が出やすいと言われています。

■湿性咳嗽

湿性咳嗽は痰が絡むのでゴホンゴホンいった湿った感じの咳、ゼーゼーという喘息が出ている場合は、下気道が炎症しているサインだそうです。湿った咳が続いている場合は注意。気管支炎、気管支肺炎、気管支ぜん息といった症状でみらる咳なので、早めにかかりつけのお医者さんに診てもらった方がよさそうです。痰の色が黄色や緑色である場合は要注意です!

3.咳をともなう呼吸器系の感染症

■かぜ症候群

一般に「風邪」と呼ばれる疾患は気道のウイルス性急性炎症の総称で、主に急性上気道炎を指します。大雑把な分け方をすると、上気道炎は「喉の風邪」で、気管支炎は「肺に近い方の風邪」です。
どちらも咳が出ますが、基本的な治療は安静だそうです。咳がとてもひどく、辛い場合は咳止めの薬を処方することもあるそうです。

■小児気管支喘息

子どもの咳の中で最も注意が必要です。初めのうちは風邪による咳が長引いたり、呼吸の時にヒューヒュー、ゼーゼーという音が聞こえたりします。喘鳴は、気管支の炎症により空気の通り道の気道が極端に狭くなってしまう病気です。
炎症を起こす原因は人によって異なりますが、ダニ、ホコリなどのハウスダストやウイルスなどが考えられると言われています。
アレルギー反応が起きるとこの反応が出るそうですが、繰り返されると気道に慢性の炎症性変化が起きてしまいます。そうなると、風邪をひいたり、刺激臭やタバコや花火、気圧や気候の変化、精神的に嫌なことがあった、などという場合も喘息が起きやすくなります。

■急性気管支炎

気管から気管支にまで及ぶ風邪で、痰(たん)を伴う咳が出ます。上気道炎と異なるのは、咳の音。痰を伴う咳ですので「ゴホゴホ」、「ゼロゼロ」という湿った感じで重めの咳が出ます。肺に近いので、重症化すると肺炎に進行していくこともあり、炎症が酷くなると気管支が狭くなって呼吸の度に「ヒューヒュー」という音が聞こえたりします。

■肺炎

激しい咳と肺の炎症が起こる病気です。咳以外に38℃前後の発熱を伴います。なかでも、子どもの間にはマイコプラズマウイルス感染によるマイコプラズマ肺炎にかかるケースが目立ちます。
肺炎では抗生剤による治療がメインですが、乳幼児などの場合は入院して治療するケースもあるようです。
子どもは風邪をひいたとき、3〜4日で症状が治まり始めることがほとんどですが、もし4日を過ぎても治ってきているように感じられない場合、肺炎が疑われますので速やかに受診してください。

■百日咳

百日咳菌という細菌による感染症です。今はワクチン接種で予防できます。昔は死に至る可能性の高い病気でしたが、ワクチンによる予防が可能になったうえ、マクロライド系の抗生物質で治療が可能な疾患です。
症状の特徴は、名前の通りしつこく、長引く咳です。しかもその音や音の発し方に特徴があり、コンコンコンコンという連続した咳が短い間隔で出ます。咳に続いてにヒューという呼吸音を伴います。ただし、このような咳がすぐに出るというわけではないということなので注意がひつようです。また、菌の特定が難しいので、百日咳と診断が確定するまで相応の時間を要します。

 

■クループ症候群

私の娘が4歳の時、夜中に突然おかしな咳をして、ママ息が苦しい!と言い出し、冷や汗をかいて顔色も悪くなってきたので慌てて救急車を呼びました。病名はクループ症候群。この病気は寒い冬の夜中に起きやすいようです。犬の遠吠えの様な、ケーン、ケーンという特徴的な咳が出ます。原因はウイルスや細菌で、その多くは風邪から進行することが多いです。いつもと違う咳が出てきたと感じた時はクループ症候群を疑い、昼間は大した事がないなと感じても、気道が腫れて呼吸困難を起こしたり、夜中に症状が悪化する事も多いので、早めに医療機関を受診するようにしましょう。

4.咳とお薬の関係

■咳を止めるべきではない時もある。

咳の役目とは、のどや気管支の粘膜に付いたウィルス・細菌・ホコリなどの異物を痰として外に出し、体の中に入らないようにしています。その時に咳が出るので、咳=ダメというわけではありません。市販の強い咳止めを飲ませて咳を止めてしまうことは、かえって症状を長引かせたり、重くしたりすることにもなりかねません。医療機関で診察をしてもらい、必要な治療をしていただくことが大切です。

■解熱剤の使い方

子供はよく熱を出します。しかも熱は夕方や夜から上がってくる傾向があります。
でも、慌てなくていい時もあるそうです。発熱のみで、すぐに救急外来を受診するのではなく、一番よくお子様を知っているお母さんからみていつもと様子が違うなど細かく見てあげることが大切なんだそうです。
熱は自分の体を守るための防御反応です。
体温が上がると体内にいるウイルスや細菌の活動が鈍くなり、体内の免疫細胞の活動が高まってウイルスや細菌への攻撃力が高まります。
つまり、発熱はウイルスや細菌と闘うために、体温を上げているのです。
むやみに解熱剤を使ってしまうとウイルスや細菌との闘いを休ませてしまうことになりかねません。ある一定の体温なら、熱のために脳がダメージを受けることは少ないそうですが、それでもあまり熱が高すぎると食事や水分がとりにくくなったり、逆に体力を消耗することがあります。その時には解熱剤を使って、少し楽になるように0.5~1℃程度体温を下げるのが解熱剤の役目なんだそう。
熱を下げることはあくまでも症状を緩和する一時的なものだそうです。

5.家庭内でとるべき対応

咳がひどいときや、喘鳴を伴う呼吸のときは、上体を少し起こした姿勢で寝ると、呼吸が楽になります。ベッドの場合は背もたれを活用したり、クッションや枕、毛布などを活用して上体を起こしてあげてください。
子供がまだ小さくて、寝相がすぐ変わってしまう時は、仰向けより横向きに寝かせるとよいそうです。

■加湿

室内が乾燥状態だと、のども乾燥して咳が出やすくなります。また、窓などを開けっ放しにしておくと、室内に冷たい空気や花粉が流れ込み、それが刺激となって咳が出やすくなることもあります。
乾燥する季節には室内の温度を暖かくし、濡れタオルや加湿器などで部屋の湿度を50~60%に保つようにすると少し楽になることもあるそうです。

■保温と保湿

マスクをすると、のどや気管支に刺激となるものが体内に入るのを防ぐだけでなく、口内の湿度を保ち、咳を止めたり炎症を鎮める効果があります。咳が出るときには周囲への予防対策だけでなく、咳止め効果や改善を狙ってマスクをさせてあげるとよさそうです。
痰がでやすくなる重要な条件のひとつが水分。のどが渇き切らないように充分な水分補給を心がけましょう。
ただし、一度にたくさん飲ませると、かえってむせてしまったり、咳を誘発する可能性があるので、少量を頻回に与えましょう。
また、温めた蒸しタオルを鼻の周囲にあてて、気道を温めてあげると呼吸が楽になることも。

■たばこ厳禁

咳をしている子供がいる時はお家の中での喫煙は厳禁です。また、布団の清潔を保つためにも定期的に天日に干す、ダニやほこりを掃除機で吸い取るなどしましょう。犬や猫またインコなどの鳥を飼っている場合、子どもが完全に調子が良くなるまでは、出来る限り同室に入れない方が望ましいそうです。

6.こども医療でんわ相談

また、小さなお子さんを持つ保護者の皆さんの不安を軽減するため、子どもの急な病気(発熱、下痢、嘔吐、けいれん等)、ケガに関する相談に対し、経験豊かな看護師、または必要に応じて小児科医がアドバイスをする休日夜間の電話相談を行っています。

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困った時は悩まず相談しましょう。

出典:https://www.mhlw.go.jp/

7.まとめ

いざという時に慌てない為に、子供がかかりやすい病気や対処法など、常に色々な情報を集めておくとよいですね。少しでも気になることがあれば必ず診察をしてもらってあげてくださいね。決して素人の判断で対処しないでください!

子供の苦しそうな咳は聞いていてとてもつらいです。少しでも早く治してあげたいのが親心。間違った判断が取り返しのつかないことにならないよう、しっかり様子を観察して専門家の判断に任せましょう。

ライター:LISA