【お腹の弱い子必見!】子供の下痢、ちゃんとケアできていますか?

この記事でわかること
・下痢の種類と受診のタイミング
・乳児と幼児の治療の違い
・家庭でのケア方法

いつも元気だった子供が急に腹痛を訴える。急な腹痛からくる下痢や、発熱嘔吐を伴う下痢などには、実は病気が隠れていることもあります。病院を受診するタイミングや、症状が出ている間の食事の与え方など、子供のことなので悩んでしまうことも多いと思います。今回は下痢についての対処法を、さまざまな角度からお伝えしていきます。

1.下痢の主な原因

子供の下痢には、大きく分けて急性のものと慢性のものという2つのタイプと、特殊な例を含み計3つのパターンがあります。さらにそれぞれに種類があり、分類されていきます。
ここではまず、おおまかな下痢の種類と特徴について原因を含めながらご紹介していきます。

■急性の下痢の原因

下痢には、菌が原因のウイルス性の「感染性」と呼ばれるものと、それ以外が原因の「非感染性」ものがあります。
それぞれについて、詳しく説明していきます。
◇非感染性の下痢
非感染性の下痢と呼ばれるものは、お腹の冷え、飲み過ぎ食べ過ぎ、また消化のよくないものをとったときに起こりやすくなります。また食べ物に対するアレルギー反応でも起こる場合があります。冷えからくる下痢の場合は、お腹を温めてあげることが大切です。暴飲暴食については、食材や量に気をつけることで下痢の症状を抑えることができます。

◇感染性の下痢

感染性の下痢は、ウイルスや細菌が原因でおこるものです。頻度としては。ほぼウイルスと考えていいでしょう。細菌性の多くは、食中毒であることがほとんどで保育園や幼稚園、学校など生活圏の集団の中で流行はないか、2~3日前から直前までに食べたものや、周りで同じような症状の人がいないかなどを確認することが重要です。

感染性の下痢は、大概「感染性胃腸炎」という診断がつきます。海外で感染することもあるため。渡航歴がある場合は必ず医師に伝えるようにしてください。感染性胃腸炎はウイルスを排出しようとする体の防衛機能が原因で起きているため、嘔吐や発熱など下痢以外の症状を伴うことも多いです。そのため下痢止めなどを利用するとウイルスが体に長くとどまってしまい、逆に長引いてなかなか治らないという可能性があります。ウイルス性の下痢の場合、医師の指示以外では下痢止めを服用しないようにしましょう。

■慢性の下痢の原因

ある一定期間以上下痢が続く、または何度も繰り返す場合は「慢性下痢」と診断されます。
子供の場合、大きく分けて2つの原因が考えられます。

まずは、感染性胃腸炎のあとに蔓延する下痢。これは感染性胃腸炎を起こした際一時的に腸の粘膜が荒れて、ただれたためにおこるものです。ウイルスによっては腸内に一カ月程度留まってしまうことがあります。そうすると、本人は元気なのに下痢だけが収まらないといった症状となって現れます。乳児の場合には、感染によって一時的にミルクを受付けない乳糖不耐症という状態になることがあります。この場合、ミルクを分解する薬を飲むことで症状が改善します。

いずれの場合も本人が元気で食欲もあり一日に2~3回程度の下痢で日常生活に支障がなければ、まず問題なしと考えていいとのことです。

次に食物アレルギーの場合。下痢が続き、ひどいケースだと血の混じった下痢になることもあります。アレルギーが疑われるものを摂取してから早ければ一時間以内くらいに症状が出はじめ、人によっては嘔吐の他、顔や体にかゆみやじんましんが出たりします。発症までには個人差があり、食べた翌日に出るものもあるので、原因特定が困難な場合もあります。食物アレルギーを疑い始めたら「お食事日記」をつけて何を食べたか記録するとよいでしょう。下痢が続いて心配なときは、早めに小児科を受診するようにしてください。

■特殊な例の原因

特殊なケースとしては、キシリトールやソルビトールなどの人口甘味料も一般的によく使われている割に下痢の原因となってしまうことがあります。飴やガムなどのお菓子、炭酸飲料のほか練り製品や加工肉などの食品にも入っています。これらは腸内で吸収されにくい上に腸の中に水を多く含む作用があります。その結果水分を多く含んだ便となってしまい、下痢を引き起こしてしまうのです。お子さんに与える食材に含まれているものにも、注意が必要ですね。

また就学すると、精神的なストレスや不規則な生活が原因で起こる下痢も出てきます。
心配なときは一度受診し、ストレス性ものか確認してもらうといいでしょう。安易にストレスという判断をして、隠れた病気を見逃さないように気をつけてください。ストレスが疑われた場合、早寝早起きなど生活のリズムを整え、食生活を改善することでよくなることもありますが、気持ちがリラックスできる薬や下痢止めが処方されることもあります。
気をつけなければいけないのは食物アレルギーによる下痢のケース。ミルクを飲まない、飲ませても下痢をし、体重が増えないなどの場合ミルクアレルギーの疑いがあります。また下痢だけでなく吐く、便に血が混じるといった場合もアレルギーを疑ってみましょう。
どちらの場合も早めに小児科を受診することをお薦めします。

2.検査と治療の流れ

■病院へ行くタイミング

病院での受診のタイミングですが、下痢や嘔吐がそれほど頻回に起こるわけではなく、本人が元気な様子であれば急いで病院へ行く必要はありません。ただし、水分は多めに摂り、食事や栄養食品などで栄養を補給し、安静にして自宅でしっかり様子を見ておきましょう。下痢は、脱水症状が起こりやすく、その状態が一番危険です。脱水症状の目安は、このあと詳しく説明していきます。
まずは、お子さんの機嫌や様子、下痢や嘔吐の回数が多いかどうかをしっかり観察してあげてくださいね。

■親が医師に伝えるべき症状の特徴

受診の際には、以下のことをメモするなど準備してから受診しましょう。
◇受診までの水分や食事の量。
◇いつごろから症状が出始めたのか、下痢や吐いた回数、尿の回数など。
※赤ちゃんの場合、ウンチをしたおむつを持って行った方がいい場合もあります。

■主な治療法

脱水症状は一番危険な状態です。ここでは、家庭と病院での脱水症状についての治療法をお伝えします。

◇自宅での治療法
水分が足りないと不安になり、たくさんの水を与えがち。また本人が飲みたがっている場合も同じです。特に冷たい水は内臓を刺激し逆効果になります。下痢の促進につながってしまい、症状を悪化させることにもなりかねず、注意が必要です。
水分を与える場合は、経口保水液などを与えるのが好ましいでしょう。ドラッグストアなどで手に入りますが、自宅でつくることもできます。

◆経口保水液レシピ◆
水  500ml
塩  1.5g
砂糖 20g
好みでレモン汁 大さじ1

冷たい水にこれらを混ぜ合わせます。
溶けにくいときは、一度沸かして温かくしてから水に溶かします。
レモン汁を入れるとクエン酸がプラスされ、飲みやすくなり吸収を高める効果が期待できます。

500mlの水にお塩とお砂糖を入れるだけ。あとはしっかり混ぜて飲ませてあげてください。お湯を沸かし、溶かせると作りやすいので、飲ませる際は少し冷やして飲みやすくしてあげてください。レモン汁を足すと飲みやすくなります。さらにクエン酸がプラスされるため、吸収もよくなるんだとか。

経口保水液は常温以上のものを少しずつ与えるようにしてください。
量の目安は
幼児 300ml~500ml
小学生以上 500ml~1000ml
が目安となります。ただし、下痢の程度によっても変わってくることを覚えておきましょう。また、食欲が出てきても一気には与えず、消化のいいものから徐々に量を増やしていくようにしてください。

◇病院での治療

脱水が疑われる場合、病院では点滴になることが多いです。脱水を改善するためや、低血糖になっているケースなどを考えて点滴で糖分、水分を補給し治療していきます。

3.下痢の時の食事

出典:https://oryouri-matome.com

■乳児の場合

母乳やミルクは、下痢の間もそのまま与えて問題ありません。
吐いたばかりのときは、一回の量を少なめにするなど様子を見ながら与えてください。

■幼児の場合

嘔吐は通常数時間から一日で収まってくるのが普通です。
吐いてから2~3時間は水分は与えないようにしてください。可哀想に思うかもしれませんが、絶食が最も効果があります。食事や水分を与えても逆に吐いてしまう可能性もあります。
吐き気が収まってきたら、スプーンで少しずつスポーツ飲料やみそ汁のうわずみ、リンゴのしぼり汁などを与えていきます。その際に、与えてから嘔吐が再開されないか様子を見ながら少しずつ与える量を増やしていきましょう。ポイントとしては、植木鉢に水を与えるようなイメージを持ってゆっくりと行ってください。下痢だからといって食事制限をすることはありませんが、タンパク質中心の食事を少量ずつ回数を増やして与えていきましょう。水分は経口保水液を十分に取るようにし、脱水症状に注意しましょう。

4.下痢があるときの家での対応

■脱水症状に気を付ける

次のような症状がみられる場合は、できるだけ早く小児科で受診することをお薦めします。

◇泣いているのに涙が出ていない。
◇6時間以上尿が出ない。
◇目が落ちくぼんできた。
◇皮膚や口の中、舌が乾燥している。
 口の中によだれが見えない。
◇呼吸が早く、すぐ寝てばかりいる、機嫌が悪い。
◇一日に6回以上大量の水様便がある。または血便がある。
◇緑色の嘔吐がある、嘔吐が続いている。
◇皮膚が冷たい。白っぽい、血色が悪い。
◇三か月以上の乳幼児で39°以上熱がある。
(三か月未満の乳児は38°以上)

■おしりのスキンケア

下痢、嘔吐の症状があっても元気であればお風呂に入れて大丈夫です。
お風呂に入れないときでもおしりは綺麗に洗ってあげましょう。
おしりをあらっただけにすると、逆にかぶれがひどくなることがあります。
ベビーオイルをぬるなどして、ケアしてあげてください。

■感染防止の方法

家庭内でのケアで心配なのが、家庭内感染です。感染予防の基本は手洗い。
他にも吐しゃ物や便の始末をしっかりとして、家庭内感染を予防するようにしましょう。
また日ごろからヨーグルトなどを与えておくと腸内環境が整い、胃腸炎にかかりにくいといわれています。

5.まとめ

いかがでしたか?子供の下痢は、見ていて心配になりますし、兄弟姉妹がいる場合、家庭内感染の予防は重要なポイントとなります。特に体力のない小さなお子さんの場合、注意が必要なのが下痢や嘔吐からくる脱水症状。経口保水液等を上手に使い、受診のタイミングを逃さないようにして上手にケアしてあげてください。

ライター:水口